読み込み中...
先行公開中:2026年11月から一部が有料になります(無料プランはそのまま使えます)。詳しく ›
読み込み中...
エッジコンピューティングに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
出典:令和7年度 秋期 応用情報技術者試験 午後 問4
E社は,小学生向けのサッカー教室を運営するスポーツクラブである。このスポーツクラブには約20個の教室があり,教室ごとにサッカーチームを運営している。普段の練習は,地域の公園や小学校のグラウンドを借りて行っているが,3か月に1回の練習試合では,サッカー用のグラウンドがある総合運動場に遠征している。
サッカー教室に通う小学生の保護者からは“練習試合の様子をPCやスマートフォン(以下,スマホという)で見たい”との要望があり,E社では練習試合の動画を配信することを考えた。そこで,E社はシステム開発会社のH社とともに,練習試合の動画を保護者のPCやスマホへライブ配信するシステム(以下,新システムという)のプロトタイプを作成してPoCを行うことにした。
H社のQ君は,E社に所属するサッカー教室のコーチや保護者に,新システムに関する要望のヒアリングを行い,新システムへの要件をまとめた。Q君がまとめた新システムへの要件を表1に示す。
| 要件No. | 要件 |
|---|---|
| 1 | ハーフタイム,アディショナルタイムなどを含む試合開始から試合終了までの時間(60分)について配信する。 |
| 2 | 音声は配信しない。 |
| 3 | 撮影専門のスタッフを用意することは困難なので,カメラを観覧席に設置したままで自動的に撮影する。 |
| 4 | グラウンド全体を撮影すると選手が小さくなってしまうので,ボールの位置を中心にズームアップして配信する。 |
| 5 | 使用予定の観覧席では電源の確保が困難であり,バッテリー駆動が必要である。また,有線LANやWi-Fiの設備もないのでモバイル通信を用いる必要がある。 |
Q君は,観覧席に設置した機器による動画処理が必要である点,費用を抑えられる点から,エッジコンピューティングで利用するボードコンピュータの調査を行った。
Q君が選定したボードコンピュータには,複雑な命令セットをもつCPUではなく単純な命令セットをもつaのCPU,画像認識などで利用するGPU,動画を圧縮・伸長する専用チップが搭載されている。また,外部インタフェースとして,キーボードやマウスを接続するインタフェース,ディスプレイを接続するb,カメラモジュールを接続するカメラインタフェース,モバイル通信装置を接続するインタフェースを装備している。
Q君は,ボードコンピュータの動作に必要な1時間当たりの電力量を測定した。その結果,何も処理をしていない起動状態で1,500mWh,これに加えて各装置の使用率が100%の場合,CPUは2,000mWh,GPUは3,000mWh,動画を圧縮・伸長する専用チップは400mWh,モバイル通信装置は500mWh,カメラモジュールは100mWhであった。また,電力量は装置の使用率に比例することが分かった。
新システムで,グラウンド全体を撮影しつつ,ボールの位置を中心にズームアップして配信することを考えると4K解像度(3,840×2,160ピクセル)で撮影することが求められる。4K解像度,24bpp(bits per pixel),60fps(frames per second)の動画を無圧縮で伝送する場合,cGビット/秒(以下,bpsという)の通信帯域が必要となる。しかし,観覧席で安定的に利用できる4Gのモバイル通信の上り側の実効速度は数十Mbps程度であり,通信帯域が不足する。また,4K解像度の動画の一部を切り取ってFHD解像度(1,920×1,080ピクセル)の動画として伝送する場合にも通信帯域は十分ではない。
このことから,モバイル通信を用いて動画を配信するためには,動画の圧縮などの対応策が必要である。代表的な動画の圧縮方式にはdがあり,専用チップであるeを使用して動画を圧縮する。専用チップであるeを利用することには,①ソフトウェアで圧縮する場合と比較してメリットがある。
Q君は新システムのプロトタイプの設計を行った。新システムのプロトタイプのイメージを図1に,新システムのプロトタイプで行う処理の流れを図2に,処理の詳細を表2に示す。
Q君は,②ボール位置の検出処理と動画の切出し処理はクラウドサービスではなくボードコンピュータで行い,保護者のPCやスマホへの動画配信はクラウドサービスを経由する設計とした。
図1 新システムのプロトタイプのイメージ
図2 新システムのプロトタイプで行う処理の流れ
| 処理名称 | 処理内容 | 処理装置 | ||
|---|---|---|---|---|
| 名称 | 平均使用率(%) | |||
| 動画の撮影 | ボードコンピュータに接続したカメラで4K解像度,24bpp,60fpsの動画を撮影する。 | カメラモジュール | 100 | |
| ボール位置の検出 | あらかじめ学習させたボールの画像情報を用いて,画像認識技術によって撮影した動画の各フレーム中のボールの位置を検出する。なお,練習試合で利用するボールは白色と黒色から成るボールである。 | ボードコンピュータ | GPU | 90 |
| 動画の切出し | ボールの位置を検出できた場合には,ボールの位置を中心としたFHD解像度の動画を切り出す。できなかった場合には,動画全体をFHD解像度に縮小する。 | CPU | 80 | |
| 動画の圧縮 | 動画を圧縮する。 | e | 90 | |
| クラウドサービスへ送信 | モバイル通信を用いて,圧縮した動画をクラウドサービスへ送信する。 | モバイル通信装置 | 50 | |
| 動画受信 | ボードコンピュータが送信した動画を受信する。 | クラウドサービス | - | |
| 動画配信 | インターネットを用いて,動画を保護者のPCやスマホへ配信する。 | - | ||
Q君は,観覧席に新システムのプロトタイプを設置し,実効容量が5,000mWhのモバイルバッテリーを接続してテストを開始した。試合開始から全ての処理は正常に動作し,ボードコンピュータの温度と配信速度も安定していたが,③試合の終盤に電力不足によってボードコンピュータが停止する問題が発生した。
この問題の原因を調査したところ,ボール位置の検出処理で利用するGPUの使用率が高かったので,GPUが処理するデータ量を低減する対応を検討した。データ量を低減する複数の方法のうち,広いグラウンドから小さなボールを検出する必要がある点,ボールが高速に移動する点を考慮し,ボール位置の検出処理の前に④撮影した動画のデータ量を小さくする処理を追加した。この結果,追加した処理に必要な電力量と比較し,GPUの使用率の低減によって削減される電力量の方が多く,動画を試合終了まで配信できるようになった。
その後,Q君は新システムのプロトタイプを完成させ,練習試合のライブ配信のPoCを開始した。
本文中の a , b に入れる適切な字句を,解答群の中から選び,記号で答えよ。
読み込み中…
本文中の c に入れる適切な数値を答えよ。1Gbpsは10⁹bpsとし,答えは小数第1位を四捨五入し,整数で求めよ。
0 字
読み込み中…
本文及び表2中の d , e に入れる適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。
読み込み中…
本文中の下線①について,どのようなメリットかを解答群の中から選び,記号で答えよ。
読み込み中…
本文中の下線②について,Q君がこの設計としたのはどのような制約からか。20字以内で答えよ。
0 / 20 字
読み込み中…
本文中の下線③について,試合開始から試合終了までに必要な電力量を答えよ。答えはmWh単位とし,整数で求めよ。
0 字
読み込み中…
本文中の下線④について,どのような処理を追加したか。15字以内で答えよ。
0 / 15 字
読み込み中…